1. はじめに
令和4年 4月に中小企業の事業再生等に関するガイドライ ン(中小版GL)の運用が開始されてから、1年半が経過しまし た1。中小版GLに基づく計画策定にあたっては、中小企業活 性化協議会における経営改善計画策定支援事業(405事 業)において、DD費用、計画策定支援費用、伴走支援費用 の3分の2(上限あり)の補助を受けることができます。かかる 補助金との関係では、中小企業庁及び独立行政法人中小企 業基盤整備機構(中小企業活性化全国本部)が「経営改善 計画策定支援事業(ガイドラインに基づく計画策定等の支援 <中小版GL枠>)マニュアル・FAQ」(本マニュアル)を公表し ておりますので、本稿では、中小版GLを利用した廃業型私 的整理手続との関係で、特に留意すべき点をご説明いたしま す。なお、本マニュアルは、今後、改訂・変更される可能性があ りますのでご留意ください。
2. 対象となる事業者について
第1 はじめに
令和4年3月4日付けで、経済産業省は金融庁・財務省ととも に「中小企業活性化パッケージ」を策定・公表し、同パッケージに 基づき、同年4月1日より、中小企業再生支援協議会と経営改 善支援センターを統合し、中小企業の収益力改善・事業再生・ 再チャレンジを一元的に支援する「中小企業活性化協議会」を 設置しました。
これは、日本の企業数の99.7%、雇用の7割を占める中小企 業について、コロナ禍の長期化等により増大する債務に苦しむ 状態が長く続いているという現状を踏まえ、事業者のフェーズ (収益力改善フェーズ・事業再生フェーズ・再チャレンジフェーズ)に応じたきめ細やかな支援を措置するとともに、描くフェーズを 一元的に支援する支援体制を構築することを目的とするものです。
中小企業活性化協議会が行っている再生支援は①窓口相 談と、②具体的な再生支援とに大きく分かれます。②具体的な 再生支援は下図のとおりです。本稿では、①窓口相談、②具体 的な再生支援のうち中小企業活性化協議会自身による支援の 概要についてご説明いたします注)1。